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剣道具・田代の製作メモ[武-6胴 蜀紅(曙光)と雲型(雲形)]

武-6胴 蜀紅(曙光)と雲型(雲形)1
【昭和の趣きある胴】

剣道具・胴の製作記録 平成19年1月
 製作メモで取り上げている剣道具ですが、その大半は誂え品をご紹介しています。
普段はあまり目にすることがない、めずらしい剣道具を皆様にご紹介したい、という主旨で、毎回の製作日記に取り組んでおります。

 お客様が持っていらっしゃる剣道具に対する「こだわり」や「価値観」は、三者三様と言えるでしょう。剣道への熱き想いや、道具に対する様々なご要望など、私どもはそれらを踏まえて具体的な色や形で表現された図案のようなイメージを伺ってゆきます。そして素材の条件や製法を検討した上で、イメージを具象化すべく剣道具の製作に取りかかります。
 誂えの剣道具はそのほとんどが未知ともいえるため、製作の途中において、都度お客様とお打ち合わせさせて戴くこともしばしばございます。

今回の製作メモでご紹介いたします剣道具は、胴になります。

「昭和の時代を連想させる胴を作ること。黒色以外を基調にしながらも、華美な装飾や色使いは避ける。飽きが来なく、何よりも稽古にガンガン使えるもの。」
お客様のご希望をまとめると、このような内容の、唯一無二の剣道具でした。
 私自身も昭和生まれですから「昭和」という響きは、どことなくウキウキし、子供の頃の懐かしい記憶が蘇ってきます。

 さっそく、昭和に結びつくものを考えてゆきました。皆様も同じような部分を連想をされると思います。昭和の代名詞といえば、胴の胸が真っ先に候補に上がりました。

 胸を表現する部分は、大きく分けると二つになるかも知れません。一般的に雲型(雲形
)と言われる部分と、蜀紅(曙光)になるのではないでしょうか。当時は、エンジ・ウグイス・紫・金茶などカラフルに染め上げられた飾り糸で刺繍を入れた胸が多く見られました。私が中学生の頃は、亀甲に「×」飾りを入れた胸が多く、男子が「ウグイスに金茶飾り」女子が「エンジに金茶飾り」という配色が最も多かったと記憶しています。

 「ウグイスに金茶飾り」はそれなりの情緒があり、個人的には大好きな配色です。素直に昭和を表現するのであれば、その蜀紅(曙光)はピッタリだと思いました。しかしすでに世は平成、年も明けて平成19年になりました。私は、安易なリバイバルに走るのではなく、あえて当時は見ることが無かった色を使ってお客様のご要望を満たす胸をご用意したい、そして胴を作って差し上げたいと思いました。
 雲型(形)は他ページでもご紹介しております「T型胸」の大サイズを基調にし、そして松飾りを用いて飾り糸に変化を与えました。蜀紅は古さを感じなく、むしろ懐かしさを感じて戴けるような配色を心がけしました。

このような胸が出来ました。

さて次回の製作メモは、現在製作中の胴台をご紹介し、胸と合わせた完成品のお披露目ができることと思います。

胴台のこだわりも当然「黒色以外を基調にしながらも、華美な装飾や色使いは避ける。飽きが来なく、何よりも稽古にガンガン使えるもの。」を意識しております。独特な風合いを醸し出した胴台として仕上がる予定でおります。

お客様はもちろん、何より私自身が、その完成品のお披露目を楽しみにしています。
(次回へつづく)
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