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店主が想う 田代のこだわり

5. 職人のさじ加減
古くから剣道家に愛されてきた「藍染」について、私はこう考えております。
紺よりも深みある紺碧からやがて青へと変わる。まるで碧海が碧空へと転じる、幾通りもの色彩を奏でる青色こそが「正藍染」。

藍染は、駿河藍・武州藍・阿波藍など、地域の特色を持った日本の伝統技術により幾種類もあり、それぞれが染色の濃淡や色落ち具合に特徴を持っています。
どの地域の藍染めも素晴らしい風合いで、様々な商品に使われておりますが、私どもが制作する剣道具
では「武州藍」を使用させていただいております。その渋みのないすっきりとした青さは、日々の稽古により使い込まれ退色する過程において、何とも言えない独特な風合いが生まれます。

「正藍染」と「剣道具」は昔から深い結びつきがありました。藍染には抗菌作用があり、木綿生地の耐久性を高めるなど、道具としての剣道具に求められる機能性を大きく向上させます。そして、何よりもその青色は、剣道衣・袴・剣道具の見た目にも美しい、独特の風合いを醸し出す染色です。過去において剣道具は、様々な染色を試みましたが、いまだ「正藍染」をしのぐ染色方法はありません。

一口に「藍染」と言いましても、たくさんの種類があります。糸の状態から何度も藍瓶につけて染めていく製法や、織り上がった生地を染めていく製法が代表的です。私たちが剣道具に使用する「正藍染」は、一本一本染め上げられた糸を丹念に織り上げた反物です。私どもは、剣道具に合った反物を十分に吟味させていただき、使用しております。そして剣道具同様に剣道衣や袴も、素材から入念に染め上げ仕立てられた逸品を皆様にご紹介させて頂けますことは、大変に喜ばしく、紺屋さん共々深く感謝しております。
美しい堅牢「藍染」を安定して創り出すことは、気温・湿度・天候など多くの自然環境における、絶妙なバランスを必要とします。そのバランスを整え、見事な色合いを作り出す「藍染」の技は、とても素晴らしく、まさに「職人のさじ加減」という言葉を思い出します。日本の伝統技術「藍染」が生み出す気品に満ちた素材に恥じぬよう、私たちも剣道具製作に精進して参りたいと思います。
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