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店主が想う 田代のこだわり

10. 職人の物差し「はかる」
「はかる」という言葉を、辞書で調べてみました。
「計る・測る・量る・図る・謀る・諮る」といったように、いろいろな意味があるものだとあらためて感じました。私たちが武道具を作ることにおいて、また、物作りの共通する作業として「はかる」という行為は、とても重要なことです。

突然ですが、あなたは「はかってあるもの」に囲まれている、なんて言われたらどうでし
ょう。あまりピンとはこないかもしれませんが、私たちの日々のくらしにおける、着物・食物・住まい等、衣食住は、まさに「はかられたもの」ばかりなのです。

たとえば、ネジを使います。直接ネジを締めることはないかもしれませんが、ネジを使った製品は身の回りに溢れています。その製品のネジが緩んでしまい、ドライバー等を使って、ネジの締め直しをした経験がある方は多いと思います。
昔の(太平洋戦争より以前)日本の工業製品は、そのネジを熟練の工員が一本一本、手で締めていたそうです。ネジ類の締め作業において、力加減は工員の培った経験と勘で「片手で締める」「両手で締める」「ぶら下がって締める」等の、段階を使い分けていたそうです。ですから工員の腕力や経験でその加減が変わってしまったわけですね。もっとも熟練の工員たちは、
そのネジに必要な力をその経験から割り出し、誰が締めても同じような力で締めていたのでしょう。ネジ類の締め作業では、個人の能力への依存度が高かったのです。従って熟練の工員がいなくなると、その製品は(例えばエンジン等)オイルが漏れてしまったりとトラブルが続いたそうです。
かたや、当時世界でも有数のクラフトマンシップを誇っていたアメリカの工業製品は、工員の力量に左右されることなく一定の水準をクリアするために、工具が発達していました。ネジを締めるにも、その力を数値化するトルクレンチといった工具を使い、見合う力で締め込まれていったそうです。アメリカは「力を計る」機械を持っていたことが、工業製品で、世界をリ
ードしていた裏付けとも言えるでしょう。

この「力を計る」という行為ですが、私たちの武道具の世界に置き換えますと、日本の工業製品的スタイルを継承しているような気がいたします。
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